皆さんこんにちは!
今回は私が受けた『東商 和裁検定』について書いていこうと思います。
ここからは和裁(着物を手縫製で仕立てる職人技術)について話すので、普段の美容など一切関係ありません!ので、すこしつまらないかもしれません?
専門知識などふんだんに書いていくので興味のある人はどうぞ♪
今回、1級、2級、試験を受けられた皆さん、ほんとうにお疲れ様です!
試験のために苦労が多い日々だったと思います。
どんな結果であれ、皆さんの素晴らしい努力と経験はこの先、将来には力となるでしょう?
早速ですが、この記事は私が受けた 東商 和裁検定 1級 についてなるべく詳しく書いていこうと思います。(今回は1級をメインにお話します。)
- 試験中の空気感
- 試験練習
など、書いていきますので、参考にしていただけると私もうれしいです!
和裁 東商検定とは
和裁検定試験とは東京商工会議所が行っている検定で、和裁に限らず、簿記などいろいろな検定を行っています。
和裁検定は1級~4級のレベルとなっており、数が少なくなればなるほど難関になっていきます。
今回は1級について説明していきます。
合格基準
科 目 | 科目合格基準 | 備 考 |
実 技 | 70点以上(100点満点中) | 未完成の場合は不採点 |
部分縫い | 70点以上(100点満点中) | 未完成の場合は不採点 |
筆 記 | 70点以上(100点満点中) |
⇈合格基準は上の図のようになっています。
もし、実技が70点以下、その他(部分縫い、筆記)が70点以上で合格すると、部分合格となり、次回実技で合格すればその級が合格となります。
1級の受講料は全科目受講¥16500、2科目受講¥14300、1科目受講¥11000と一番高額です。
最難関ではありますが、1回で合格したいですね^^;
受験資格
学年、年齢、性別、国籍に制限はありません。
※1級受験者は、東商検定もしくは国家検定の2級所持者であること※
試験内容と種類
※今回は1級のみの紹介です
実 技
試験時間 8時間30分
- 女子用袷長着
- 広衿で別付とする
- 共衿は別かけとする ただしくけは束ぐけでもよい
- 寸法は指定しない
- 材料は紬以外の絹布(羽二重、綸子、縮緬等)
試験は着物をたたみ終わってから終了です!
着物がたたまれていない状態or縫い終わっていない場合(未完成)は失格となり、採点されません。
当日に準備しておくところ
①裁断、ヘラ付け(しるし付け)
②すべての箇所に幅の印付けはしてはいけない(しつし付け、チャコ、折り等)
③付属材料=裾芯、三つ衿芯
1級は幅の印付けができません。今回、丈の印付けのみなので、【丈】と呼べるものはすべて印付けしました。
それと見ごろなどは5寸間隔くらいで幅のとろこに、丈の印をつけて試験に挑みました。
試験スケジュール
1級の試験は2日間かけて行われます。
【1日目】
部分縫い 9;00~12;00
筆記 12;45~13;35
実技 14;00~17;00
【2日目】
実技 9;00~12;00
休憩
実技 12;45~15;15
1日目に筆記と部分縫い、実技と3種類あるのでものすごく疲れます?
次の日は残り実技5時間30分があるので、試験終了後はよく体を休めましょう!
部分縫いについて
試験時間 3時間
試験は2問出され、それぞれ封筒に問題と共に布がはいっており、最初に試験官から入っている布が寸法が足りているか確認するように言われます。
それと最初の針の本数を記入する紙に試験番号と共に記入します。
裁断があるので裁ちばさみは必ず持っていましょう!
試験終了後はまた針の本数を記載して、試験官が仕上がった部分縫いを回収してくれます。
※針の混入は失格となりますので気をつけてください!※
試験で使われる部分縫い用の布は当日何色かわかりません!色が違う糸を使用しても不合格にはなりませんが、なるべく同じ色糸で縫う方がいいので化繊の色糸を種類多めに容易しておくとよいでしょう
試験の数か月前に和裁講習会が開かれるのですが、その際3種類の部分縫いを教わります。
今回私が教わったのは
- 鉄砲衿の女子用ひとえ羽織の左見頃の裾部分 (時間約40分)
- 力士用のひとえ羽織の箱まちを入れ、左半身を衿なしで作る (時間約2時間)
- 雨コートの上前見頃のすそ半身、立て衿つきで仕立てる (時間約1時間)
試験で出たのは、力士ようの羽織と鉄砲衿のひとえ羽織でした。
ですが、教わった3種類の部分縫い以外にも出題される可能性もあります!
教わった3種類の部分縫いはかならずマスターして、余裕がある場合は他の部分縫いにも目を通すとよいでしょう。
部分縫いポイント
1級の部分縫いは完成すればよい、というものではありません。
縫いはまっすぐ、細かく、くけも均等か、糸しごきはきちんとできているか、など美しさが求められます。
何よりも最後の仕上げが大事です!しわ一つないように湿布を使って隅々までアイロン仕上げします。
部分縫いはそれぞれに気を付けるポイントがありますが、何よりも気を付けなければならないのは指定された寸法通りかどうかです。
例として、問題に5分の前上がりをつけなさい、と書かれていたのならその通りに付けなければなりません。
細かい寸法指定などはない部分縫いですが、問題に記載されている指定寸法は守りましょう。
私もかなりの量を練習して部分縫いの練習したものの山が出来ました(笑)
筆記について
試験時間 50分
試験時間は50分ですが、30分ほどすぎると完成した人は教室からでてよい、と試験官から言われます。
最後まで残るも、途中で出るのも自由です。
試験問題数は5問ほどでした。
試験には筆記用具とものさし、電卓が必要ですので忘れずに持参しましょう!
こちらも和裁講習会でこの問題を覚えてください、と数問指定されます。(使用する教科書はありますが転載禁止なので内容は公表しません。)
ですが1級は2級の範囲も含めて全範囲とも言われました。いわれた問題は必ず覚えて、余裕があるなら他の問題にも目を通しておきましょう。
今回私が受けた試験は言われた問題の中からでました。
実技について
試験時間 1日目 3時間 二日目 5時間30分
実技の試験を始める前に試験官のチェックが軽く入ります。
簡単なもので1級は全縫製なので、縫われていないか、印付けは終わっているか、聞かれました。
OKをもらえたら自分の縫う順番に着物を置いていきます。
もらった紙に受験番号と針の本数を記入します。
実技タイム
私が試験で縫った順番とタイムをなるべく詳しく書いていきます。
参考にしていただければ幸いです。
1日目 3時間
開始~17分 両袖口布縫い終わる
48分 片袖縫い終わる
1時間20分 両袖縫い終わる
1時間35分 上裏縫い終わる(15分で胴はぎの胴裏を終えます)
2時間 小はぎ、八掛など縫い終わり、胴はぎあわせに入る(30分で裏地のパーツすべて縫い終わらせます。)
3時間 裏地完成。仕上げなど。(時間が少し余った場合は裏地の仕上げや掛衿に取り掛かりました。)
2日目 残り5時間30
前半3時間
4時間 開始~1時間 着物の表の縦縫い終わる
4時50分 地衿付け、掛け衿付けに50分
5時間30分 裾合わせ、裾完成
6時間 身八ツ縫い終わり、背と脇、衽の止めをする。6時間までに背の中とじまで入るとなおよし。
休憩45分
7時間30分 残りの中とじ、身八ツのコテあて、衿底縫い、褄下くけ、両袖付終了
8時間 衿中とじ、衿くけをし、着物完成。この時時間が少しでも余る場合は、衿くけ細かくする。
8時間25分 両脇と背を付け合わせのコテあてをし、しわなどコテ仕上げする。直す箇所もあるなら直す。8時間30以内に着物を本畳みをし、終了する。
試験が終わると最初に記入した針の本数の記入用紙にまた針の本数を記入します。
※この時入針していると失格です!針の本数はしっかり数えましょう※
実技コツ
では私が実技で気を付けていたこと、先生に言われたことなど記載していこうと思います。
参考にしていただけると嬉しいです!
要点にまとめていこうと思います。
縦縫いについて
すべての作業を繰り上げることが第一ですが、着物を8時間30分で縫いきるには縦縫いを早くすることが第一に考えることかと思います。
学校で習う基本の運針の大きさは1寸間に7~8目と教わったと思います。
速く縫うことを意識すると縫い目が大きくなりがちですよね?
縦縫いの縫い目の大きさも大きく採点には影響するかはわかりませんが、点数にに入るかと思います。
縫い目は1寸に5~6目ではなく、なるべく大きくならないように7~8目を意識して縫いましょう。
糸しごきなどできていないと減点になると思うので、糸しごき、針しごきなどもしっかりしましょう!
しすぎて糸ゆるみなど無いようにしましょう!
縫いはまっすぐ、ハの字など無いよう、キセむらなど無いようにしましょう。
裾について
裾は必ず採点に入る箇所です!私はここを特に気を付けて縫いました。(今思うと反省点も多いですが…)
きれいな裾のポイント
- 裾ふきが均等(ふきは基本垂れものの着物なら8厘。太くとも細くともなってしまうかもしれませんが、ふきが均等なら大丈夫です。)
- 裾の縫い代の分厚さが均等。(脇や衽などは縫い代が多く完成した際に分厚くなりがちです。コテでしっかりつぶし、縫い代がないところはあまりつぶしすぎないようにしましょう。)
- しつけがまっすぐ、均等。(しつけの大きさは基本7分、衽、前身頃、後ろ見頃のしつけの数は揃えましょう。)
- 褄の形が左右で同じ
きれいな裾を作るためには、各学校で縫い方や作り方が違ってくるかとは思いますが、表の着物と裏地の自の目が寸分狂わないように縫うことが大事だと思います。
裾を中からコテあてでつぶす時も裾から1寸5分くらいは縦縫いのとこをは縦にコテあてをし、形をしっかり決めておくとよいでしょう。
中とじについて
中とじはスピードを出せる箇所だと思います。
背、脇、衽、それぞれ1本入れるのに5分を目指しましょう!
中とじは外から見られないので多少大きくとも大丈夫だとは思いますが、大きくとも1寸程度にしておきましょう。
中じのスタートは裾からだとはおもいますが、裾から1寸以内に中とじをしていないと減点になると思います。
中とじが入れにくい箇所にはなりますが、裾の出来上がり、ギリギリのところから中とじを入れましょう!
裏地のハギ縫いされているとことも中とじが入れにくい箇所です。ですが、中とじの採点をする際、裾のところ、ハギのところを中とじを見るらしいのでここは5~7分くらいの細かめの中とじを入れましょう。
ハギ縫いについて
ハギ縫いは胴裏と八掛と、違う生地同士を縫い合わすので、細かく縫います。
裏地の胴はぎ縫いのところですがなるべく細かめに縫いましょう!
縫い目は1寸間に10目以上を目指すとよいでしょう
試験をうけてみて
ここからは私の試験を受ける前の気持ちや体調、縫いについて書いていきます。
試験勉強をはじめたのはだいたい3か月前、本格的に練習したしたのは1か月くらい前だと思います。
私にとって東商1級はものすごく難関でした。それはもう本当に。
無事受かって安心していますが、今思うともう少し前から練習や勉強をすればよかったかな?と思います。
3か月間はもう死に物狂いで着物に打ち込みました。常に気が張り詰め、少しでも気が抜けば受からない気がして、気が気ではない日々でした。
今回一番の良かった要素は、一人はなかったことだと思います。
私が受けた1級は同じ学校でもうひとり、先輩と受けたので二人で実技練習をしてどれだけ支えられたかわかりません。本当にとても感謝し尊敬しています。(先輩も1級は合格しました!)
普段わたしはネガティブなことはあまり言わないし、常にポジティブで元気でいますが、さすがに無理でした。
私ならできる、私だからこそできる、と常に鼓舞していましたが、その強い気持ちと同じに本当に大丈夫なのか?と、思う日々でした。
年齢などは問わない試験ですが、年齢的にも体力的にも私は今が限界だと感じており、(試験の当時29歳)もう今年を逃したら次はない、と決めていたので私にとってラストチャンスだったのです。
試験の1か月間になると毎週1回、多くて2回、実技練習を先輩と二人でやりました。
試験練習は本番と同じように2日間かけて行い、試験後には毎回、疲れ果てて胸やけがし、立てませんでした。
学校が終わると家で筆記勉強と部分縫い練習の日々、朝には先生に部分縫いを見てもらい、アドバイスをもらって、それをもとにまた作る、の繰り返しの毎日でした。
先生のアドレスを聞いて毎回注意されたところは気を付けて、自信はありましたが、不安もありました。
東商1級は1回で受からない場合も多くあると、話を聞いていたので本当に気が気ではありませんでした。
ストレスで体重はどんどん落ち、気にはなりましたが気にすると余計にストレスがたまる!と思い、友達には心配されましたがほっときました。(朝昼晩+夜食と食べていましたがみんなが心配するほどガリガリに)
試験の前日にはついに無理がたかって熱を出し、寝込みました。当日の試験には回復したので試験を受けれました!
試験を受ける際、アドバイスをくれた先生たちに応援メッセージをいただき、思わず泣く(笑)
試験を終えた後もあそこがだめだったじゃないか?もっとよくできたかも…とか不安ばかり、試験後の解放感もありましたが、結果発表の不安もありました。
合格発表は学校で行われ、先生から『3科目、すべて合格です!』と言われたときの私は人生で1番叫んで喜び、泣きました。
後輩からもおめでとうございます!と祝福されて、感動して私も泣きそうになりました!と言われて笑い、喜びました。
本当に良かった。本当に。
私を支えてくれた彼に、先生に、友達に、心から感謝いたします。
この記事が次の東商受験に役立つことを願っています。
本当につらく、大変な試験だと思います。ですがどうかあきらめないで、最後まで希望を捨てずやり切ってください
最後に私の試験点数を書いておわりにします。
実技 76
部分縫い
問① 42 問② 47 問③ 47 合計89
筆記 97.5
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